凱旋の行列

◆コロサイ人への手紙2章11節~15節

2:11 キリストにあって、あなたがたは人の手によらない割礼を受けました。肉のからだを脱ぎ捨て、キリストの割礼を受けたのです。
2:12 あなたがたは、バプテスマによってキリストとともに葬られ、また、キリストを死者の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、キリストとともによみがえらされたのです。
2:13 あなたがたは罪によって、また肉の割礼がなくて死んだ者であったのに、神は、そのようなあなたがたを、キリストとともに生かしてくださいました。それは、私たちのすべての罪を赦し、
2:14 いろいろな定めのために私たちに不利な、いや、私たちを責め立てている債務証書を無効にされたからです。神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけにされました。
2:15 神は、キリストにおいて、すべての支配と権威の武装を解除してさらしものとし、彼らを捕虜として凱旋の行列に加えられました。

◎背景

この手紙を読むと、「祭儀主義」「律法主義」「禁欲主義」「神秘主義」などの様々な教えがコロサイの教会を混乱させ「福音の恵み」から引き離してい たことが分かります。パウロはコロサイの教会の信徒たちにこれらの誤った教えから離れ、教会の頭であるキリストにつながり「神の恵み」に立ち帰るようにと 厳しく語っています。一章の前半にパウロの祈りが書かれていますが、ここから、「恵みの福音」について学びましょう。

Ⅰ.キリストの割礼 バプテスマにある真理

割礼は、アブラハムと彼の子孫であるイスラエルに与えられた永遠の契約のしるし、神の民の証しでした。ここでパウロはコロサイのクリスチャンたちに 対して、彼らがすでにキリストの割礼(バプテスマ)を受けているので、人の手による(身体的な)割礼を受ける必要がないと教えています。

1.キリストとともに葬られた

バプテスマは、キリストと共に古い自分が葬られたことを証しする宣言です。

2.キリストとともによみがえらされた

バプテスマは、キリストと共によみがえり新しい神のいのちが与えられたこと証する宣言です。

Ⅱ.無効にされた債務証書

ここで「無効にされた」と表現されている言葉は、「ぬぐいとられた」「消し去られた」を意味するギリシャ語が使われています。しかし当時の実際のビ ジネスの慣習では、債務を取り消す時には、債務証書に線を引き、バツをつけて無効にしていたそうです。ちょうど私たちが契約書などに間違えて書き込んでし まった時、その箇所を二重線と訂正印で訂正するのと似ています。しかし、いくらバツをつけたり、二重線で無効にしたりしても、そこに何が書いてあったかは 簡単に分かってしまいます。一方、とてつもない負債が記された私たち罪の債務証書を神さまは、完全に拭い去り、消し去り、まったく白紙のような状態にして くださると言うのです。そこには何の痕跡も残されません。

◇ルターとサタン

ある夜、サタンがルターの前に現れたこう語った。「ルターよ、お前は教会改革者を気取っているが、少し思い出した方がいい。良心の呵責はないのか ね?お前はこんな罪を犯しただろう!お前はあんな罪も犯したではないか!あの時責任逃れをしたではないか!やるべきことをしなかっただろう!改革者という ならまず自分自身から改革すべきではないかね!教会改革なんておこがましいぞ!」これを聞いたルターは、落ち着いて次のように答えた。「テーブルの上にあ る石版に、今お前が指摘した私の罪を全て書きなさい。付け加えるものがあったら、それも全部書きなさい。」ルターを責める口実を得て大喜びのサタンは、ル ターがこれまで犯してきた長いながい罪のリストを石版の上に書き出した。 「ちゃんと全部書いたかね?」とルターはサタンに確認した。「確かにな。おぞましい罪のリストが出来上がったよ!これを見たら、とても他人を改革しような んて気にはなれないだろうよ!まず自分を清めるのが先だろ?自分自身を改革してみろ!」とサタンは嘲笑った。サタンの挑発を聞いてルターは静かに答えた。 「いいかね。ペンと石版を取って、これから私の言うことを書き取るのだ。確かに私の罪ははなはだ大きい。聖なる神がご覧になるならば、私には数えることの できないほどの咎がある。私の内には、善なるものが何一つない。しかし、サタンよ。お前がかき出した最後の罪の後に、こう書くのだ!『御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。』と!」ルターのこの言葉を聞くと、サタンは何も答えずにたちどころに彼の前から消え去った。

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Ⅲ.凱旋の行列

キリストの犠牲の死によって、私たちの罪の負債は帳消しとなり、キリストの復活によって、栄光に満ちた勝利がもたらされました。キリストの復活は、悪魔の完全な敗北を意味します。

◎凱旋の行列

当時のローマ帝国が他国との戦争に勝利した時に華々しい凱旋行進が行われました。勝利をもたらした将軍 の栄誉をたたえるために市民が喝采をもって出迎えたのです。四頭立ての戦車に乗った将軍の前を、降伏し た敵国の司令官や虜になった王族たちがさらし者となって市内を引き回されました。