御子の血による贖い

◆エペソ人への手紙1章4節~6節

1:7 私たちは、この御子のうちにあって、御子の血による贖い、すなわち罪の赦しを受けているのです。これは神の豊かな恵みによることです。
1:8 神はこの恵みを私たちの上にあふれさせ、あらゆる知恵と思慮深さをもって、
1:9 みこころの奥義を私たちに知らせてくださいました。それは、神が御子においてあらかじめお立てになったご計画によることであって、
1:10 時がついに満ちて、この時のためのみこころが実行に移され、天にあるものも地にあるものも、いっさいのものが、キリストにあって一つに集められることなのです。このキリストにあって、
1:11 私たちは彼にあって御国を受け継ぐ者ともなったのです。私たちは、みこころによりご計画のままをみな実現される方の目的に従って、このようにあらかじめ定められていたのです。
1:12 それは、前からキリストに望みをおいていた私たちが、神の栄光をほめたたえる者となるためです。

◎エペソ1:4~6

前回、1章4、5、6節から「神の選びとみこころ」について学びました。それに続く1章7節から12節では、父なる神の救いの計画を実現された御子 の贖いの業について語られています。聖書の教える「贖い」の意味について学んでいきましょう。福音を理解する上で最も大切なキーワードの一つです。

1.御子の血による贖い

◎贖いとは代価を払って買い戻すこと

贖いとは代価を払って買い戻すことです。聖書は創造主に反逆し悪魔の支配下に置かれていた私たちをイエス・キリストがご自身の血の代価によって創造主の元に買い戻してくださったと教えています。

①さばき(苦難)からの救い

贖いとはさばきからの救い、また罪からの救いです。キリストは私たちの罪を負い、私たちを救い、義なる者としてくださいました。キリストは私たちの 病を負い、癒しを与えてくださいました。またキリストは私たちの呪いを負い、祝福を与えくださいました。キリストは十字架の贖いを通して、これらすべての ものを交換してくださったのです。キリストは十字架の上での犠牲を通して、私たちを束縛しているすべての悪しきものを引き取ってくださり、ご自身の持って おられるすべての良きものを私たちに与えてくださったのです。贖いとは呪いと祝福の交換です。

神は、罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それは、私たちが、この方にあって、神の義となるためです。(Ⅱコリント5:21)

②神の子としての権利の回復

贖いとは神の子ども(相続者)としての権利が回復されることです。キリストは十字架の贖いを通して、私たちに、子どもとしての立場を回復してくだ さったのです。それ以前の私たちは、父である創造主との 関係を失い孤児のような存在でした。私たちを取り戻すために、キリストは十字架の上で父なる神から見捨てられた者とならなければならなかったのです。

◇ベン・ハー

友人の裏切りによって、奴隷の身となったベン・ハーは3年もの間ローマ海軍のガレー船に鎖でつながれ、 他の奴隷たちとともに櫂をこぎ続けます。仲間たちが命を落としていく中で、復習心に燃えるベン・ハーだけは過酷な境遇の中を生き延びて行きます。彼が最後 に乗せられた船は、将軍が指揮する旗艦でした。将軍は只者ではないベン・ハーに興味を引かれます。ところが将軍の乗った船が敵の艦隊との戦闘の中で、 沈没しベン・ハーに命を救われることになります。将軍は戦いがローマ艦隊の勝利に終わっていたことを知らなかったのです。ローマに凱旋した将軍は、奴隷で あったベン・ハーを養子に迎え、彼に自分の息子(相続権者)となったことを示す指輪を渡すのでした。

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しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。(ヨハネ1:12)

③創造主の創られた良き姿への回復

贖いとは人や自然が創造主の創られた本来の良き姿に回復されることです。創造主なる神が造られた世界では、すべての被造物に一致と調和があったのです。人と人との関係、人と自然との関係、人と創造主との関係、すべてに平和があり、完全な調和のうちに保たれていました。

そのようにして神はお造りなったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。(創世記1:31)

2.神の御住まい

①買い取られた者

贖いはもともと買い戻すことを意味しています。キリストによって贖われ救われた私たちは、キリストによって買い取られた者であるのですから、私たちの所有権はすでにキリストのものとされているのです。

◎捧げることの意味

「この家をあなたのために使ってください。」と祈って、明け渡した時から、次から次へとお客さんが来るようになりました。確かに忙しくはあります が、同時に多くの目に見えない祝福を受けています。このように教会として使われていることも感謝です。また、いつも「子どもたちをあなたにお捧げします。 あなたの望まれるところに送り出してください。」と祈っていましたが、いろいろな形で子供たちが家を離れ宣教の働きに参加するようになりました。そばにい てくれれば助かりますが、送り出すことによって、さらに大きな祝福を受けています。

あなたがたのからだは、あなたがたのうちに住まれる、神から受けた聖霊の宮であり、あなたがたは、もはや自分自身のものではないことを、知らないのですか。(Ⅰコリント6:19)

②所有権の放棄

私たちをご自身の血によって買い取りご自身のものとしてくださった方は恵みとあわれみに満ちた方です。誰よりも私たちのことを良く知り、私たちのた めに最善の計画を用意してくださっている方です。聖書はキリストによって救われた者を「聖霊の宮」「神の家」「神の御住まい」と呼んでいます。この建物の 所有者はキリストであると聖書は教えています。救われた者にとっての幸いな生き方は、愛なるお方であるキリストに自分自身を明け渡して生きていく生き方で はないでしょうか。

このキリストにあって、あなたがたもともに建てられ、御霊によって神の御住まいとなるのです。(エペソ2:22)