聖霊の証印

前回は、１章７～１２節から「キリストの贖い」について学びました。１章１３節から１４節では贖いの保証として与えられる聖霊の証印について語られています。

欧米社会では、契約はサイン（署名）によって結ばれ、印鑑はほとんど用いられません。日本 では不動産取引など大切な契約がなされる時は実印を押すことを求められます。契約したのが確かに本人であり、その契約に同意したことを証しするためです。 私たちがどんなに罪深い者であったとしても、キリストを受け入れるならば、キリストの流された血によって、私たちのすべての負債が支払われ、神の子とされ るという契約に、神様が実印を押し同意してくださったのです。聖霊によって証印を押されたとは、神様がその贖いの契約に同意したことを証しするものです。

普通、契約というものを考えた時に、不動産取引であっても銀行融資の契約であっても、契約 書には細かな取り決めが書かれてあります。契約の恩恵を受けるためにはそれらに同意することが求められます。さまざまな縛りを受け入れなければなりませ ん。契約を守れない時には、かならずペナルティーが発生するのです。 不動産売買契約であれば、手付金が没収されてしまうとか、ローン契約であれば、担保にしていた家屋敷を取られてしまうとか・・・。ところが、聖書に書かれ ている贖いの契約のどこを読んでも私たちに不利な条項を一つも見出すことはできません。すべてが一方的な恵みによる祝福の約束なのです。すべてが、キリス トの流された血、支払われた犠牲の代価によって解決しているからです。私たちが、満たすべき条件がただ一つのを除いて他にはなにも見つからないのです。そ のただ一つだけ条件とは、私たちが単純に自分の罪を認めて、イエス・キリストを救い主として心に受け入れることです。

贖いとは、代価を払って買い戻すことであること、また、キリストの贖いによって悪魔の手から神の 手へと人間の所有権が移されることを前回学びました。贖いを通して、私たちは神のものとされているのです。聖霊の証印は救われた者たちを神が所有されてい ることを証しするものです。

この手紙が書かれた当時の証印は、印のついた指輪がよく用いられていました。権威者が重要な手紙 や書類を送る時に溶かしたロウで封印しその上に自分の指輪を押し付けて印を残したのです。商人たちもまた自分たちの商品を梱包した荷に印を押して発送しま した。受け手が、どこのだれが送ったものかを判別できるようにそうしたのです。手紙にしても、商品にしても、定められた受け取り手以外の者が封を切ること は許されません。同様に、花嫁である教会には聖霊の証印が押されており、花婿であるキリストだけがその封印を解く権利が与えられているのです。私たちがキ リスト以外の者に封を解かせてはならないのです。なぜならば教会はキリストのものだからです。

前回、ベン・ハーの話しをしました。ローマの将軍がベン・ハーの指にはめた指輪は、奴隷 であったベン・ハーをわが子として受け入れ、彼に自分の持っている権威とすべての相続権とを与えることを意味しています。映画ベン・ハーの中の印象に残る シーンです。これと同様に、父なる神は私たちに、我が子として受け入れたこと、また天にあるすべての祝福の相続権を与えたことの保証として、私たちに聖霊 を与えてくださったのです。

「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証であられます。」とありますが、この保 証という言葉には、売買契約における「手付金」という意味が含まれています。聖書は、私たち自身がすでにキリストの血によって買い取られた者であり、やが て完全に神のものとされることを教えています。父なる神が聖霊という手付金によってそれを保証しているのです。また、神の子とされ相続権を与えられた私た ちには、天にあるすべての祝福を受け継ぐことの私たちに、神の国の祝福を得る権利はすでに与えられており、今、その一部分を受けており、やがて完全に受け 継ぐのです。

私たちは、

父なる神によって選ばれ、

御子イエス・キリストによって贖われ、

聖霊によって証印を押されたもの者です。