来なさい、そうすればわかります。

◆ヨハネの福音書1章35節~41節

1:35 その翌日、またヨハネは、ふたりの弟子とともに立っていたが、
1:36 イエスが歩いて行かれるのを見て、「見よ、神の小羊。」と言った。
1:37 ふたりの弟子は、彼がそう言うのを聞いて、イエスについて行った。
1:38 イエスは振り向いて、彼らがついて来るのを見て、言われた。「あなたがたは何を求めているのですか。」彼らは言った。「ラビ(訳して言えば、先生)。今どこにお泊まりですか。」
1:39 イエスは彼らに言われた。「来なさい。そうすればわかります。」そこで、彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を知った。そして、その日彼らはイエスといっしょにいた。時は十時ごろであった。
1:40 ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。
1:41 彼はまず自分の兄弟シモンを見つけて、「私たちはメシヤ(訳して言えば、キリスト)に会った。」と言った。

◎友なるイエス

皆さんの人生の中で、さまざまな出会いがあったと思います。あなたの大切な友となった人々との出会いは、きっとあなたの人生を豊かなものとしたので はないでしょうか。ヨハネの福音書の学びの初めに、ある牧師先生が次のように語られたことばを紹介しました。「ヨハネの福音書とは、『主との友情を深め、 育むための福音書』だと言ってもよいかと思います。」覚えていますか?イエスは父なる神のみもとを離れて、罪人を探して救うために、そしてその友となるた めにこの地上に来てくださったお方です。この箇所では二人の弟子とイエス様との出会いが記されています。私たちの最高の友となってくださる方イエス様との 出会いについて考えてみましょう。

Ⅰ.「見よ、神の小羊。」

バプテスマのヨハネがイエス様を見て「見よ、神の小羊。」と叫んだ時に、ここに登場する二人の弟子(アンデレともう一人はこの福音書の著者であるヨ ハネと考えられています。)は興味を引かれてイエスの後について行きました。ヨハネの使命は人々の注意、関心を自分にではなくキリストに向けることでし た。私たちは何かにあるいは誰かに関心を持って生きています。そして、多くの場合は、自分が関心を寄せているその対象を調べたり、手に入れようとしたり、 ついて行ったりするわけです。アンデレとヨハネは、最初はたぶんちょっと距離を置いて、あるいは気づかれないようにして、イエス様の後について行ったのだ と思います。「バプテスマのヨハネが神の小羊と呼ぶあの方はどんな人なのだろう」と考えながら・・・。二人はこの時はまだ理解していませんでしたが最高最 善の方に目を向けていたのです。

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Ⅱ.「あなたがたは何を求めているのですか。」

「なにか御用でも?」という挨拶ともとれますが、後をつけてくるアンデレとヨハネを見て、イエス様はこう尋ねられたのです。「何を求めているのです か。」と・・・。すべての人にとって大切な質問です。ところが、二人はイエス様の質問に対して、「今、どこにお泊りですか。」と質問に質問で答えました。 「あなたのことを知りたいのです。」と言えずにこう答えたのでしょうね。あなたはどうでしょう・・・「あなたは何を求めて生きていますか?」と問われたら どう答えるでしょうか。多くの人々はこの世が提供するもの(成功や快楽)に目を向け、その後を追い、手に入れようと生きています。たくさんの時間とお金を 使うことも厭いません。でも、求めているものを手に入れても必ずしも幸福をもたらすとは限りません。そんな私たちの心を知って、イエス様は問われるので す。「あなたは何を求めているのですか。」と。アンデレとヨハネは「荒野で叫ぶ者の声」を聞いていました。二人はメシアがもたらす神の国に目を向けていた のではないでしょうか。

Ⅲ.「来なさい。そうすれば分かります。」

アンデレとヨハネが出会ったイエス様は、近寄りがたい宗教家のような存在ではありませんでした。ここを読むと、イエス様のカジュアルでフレンドリー な姿が浮かんできます。英語では “Come and see.”です。「来れば、分かるよ。」と言った感じでしょうか。あなたが、「イエス様、あなたのことを知りたいのです。」と問いかけるなら、イエス様は あなたに「私のところに、来れば分かるよ。」と優しく答えてくださるお方です。

Ⅳ.彼らはイエスといっしょにいた

ギリシャ語で「メノー」という言葉が使われていますが、「いっしょにいる」「泊まる」「とどまる」「つながる」とも訳されています。ヨハネの福音書 の中で何度も繰り返して使われている大切なキーワードです。「(真のぶどうの木である)わたしにとどまりなさい。」「わたしのことばにとどまりまさい」 「わたしの愛にとどまりなさい。」・・・。イエス様は私たちとともに人生を歩んでくださる方です。試練から助け出してくださる方でもありますし、試練の中 を共に歩んでくださる方でもあるのです。

Ⅴ.「私たちはメシアに会った。」

二人の弟子が、イエス様といっしょに過ごした中で、どんな会話が交わされたのかは記されていません。でも、たった一日いっしょに過ごしただけで、イ エス様が救い主であることが分かったのです。語り合い、たぶん一緒に食事もしたのでしょう。この場面では大きな奇跡は起こっていません。ただ、イエス様と いっしょにいたことで、この方がメシアであると分かったのです。ここから、アンデレとヨハネ、他の仲間たちと共に、イエス様との旅が始まっていくのです。