それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。
◎キリストの弟子
今回は弟子作りの視点から神の国に生きることを学びたいと思います。キリストの弟子を一言で表すならば、キリストと共に歩み、キリストから学ぶ人です。そして言うまでもなくキリストの弟子は神の国に生きる人々です。

◆マルコの福音書1章14節~15節
1:14 ヨハネが捕えられて後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べて言われた。
1:15 「時が満ち、神の国は近くなった。悔い改めて福音を信じなさい。」
Ⅰ.カイロス
時を表すギリシャ語は二つあります。一つは流れていく時間、クロノス、そして、あることが起こる特定の時間、カイロスです。主イエスが語られた「時」はカイロスです。神様が私たちの人生に(あるいはこの世界に)介入される特別な時を指しています。失われた魂が神の国に入るように招かれるときもカイロスであり、神の国に生きる私たちに日々神が語られる時もカイロスです。神の声を聞く(導きを受ける)者には二つの応答が求められます。「悔い改める」ことと「信じる」ことです。
Ⅱ.悔い改め
「悔い改め」と聞くと、罪を犯して神様の前に懺悔しているような光景を思い浮かべるかもしれませんが、「悔い改め」本来の意味は、「心を変える」「向きを変える」「立ち返る」という意味です。悔い改めには心の痛みが伴うかもしれませんが、もともとの言葉には「悔いる」という意味は直接含まれてはいません。悔い改めは明け渡しのプロセスと考えてよいと思います。悔い改めのステップをもう少し詳しく見てみましょう
1.気づく
生活を変えるためには、自分自身が今どこにいるのか、自分自身の反応、感情、思いと正直に向き合うことが大切です。多くの場合、神様は「気づき」を通して語ってくださいます。自分の心配やこだわりを横に降ろして、神様の前に静まって「あなたは私に何を求めておられますか?」という謙虚に祈るときに「気づき」が与えられやすくなると思います。それは神様の語りかけられるカイロスの時です。私たちの心が、他のもので占有されているなら、このカイロスを見過ごしてしまうかもしれません。
2.心を探る
なぜそのように反応し、感じたのか、聖霊に自分の心を探っていただきましょう。正直に答えることが大切です。そこに思いを留めて、注意(関心)を払い、思いを巡らせ神様が自分に求めておられることを汲み取ることです。さまざま思いや感情が邪魔をするかもしれませんが、神様に心を向けることが大切です。
3.告白する(分かち合う)
気づきを通して神様が語られたことを、信頼関係のある人と分かち合うこと(話し合い、告白すること)が大切です。自分の思いの中だけにとどめておくなら、生活や関係に変化をもたらすはできません。「最近、神様から・・・と語られているように思います。」と正直に分かち合うことが神様の求めている姿に成長する助けになります。
Ⅲ.信じる
「信仰」を考える時に、「信仰」が強いか弱いかよりも、まず何を信じているのかが問われます。信仰は選択です。選んだものを信じるわけですが、ここで「自分が信じたいこと」を選んでいるのか、「神様が語っておられること」を選んでいるのかが問われます。悔い改めのプロセスで自分と正直に向き合い明け渡していないと誤った選択をしてしまいます。神の国に生きるためには神の望んでおられることを選び取って信じなければなりません。そして信じたことに従って行動することが求められます。
1.決意する(計画する)
心を探り、分かち合えたなら、次のステップは決意する(計画する)ことです。まず神の国(神のご支配の中に生きること)を求め、祈り、分かち合い、それを実行に移すための方法を考える必要があります。自分の責任範囲を明確にして、具体的にできることから始めましょう。すぐ行動に移せることもあるでしょうし、数か月あるいは何年かかけて準備しなければならないこともあるでしょう。大切なのはそこに関心を向けて、どうしたら実現できるか考え、準備すると同時に聖霊の助けも求めて祈り続けることです。最初は責任範囲をなるべく絞って、小さなことから計画した方が良いと思います。少しずつ習慣を変えることもこれに含まれます。
2.正直に分かち合う(アカウンタビリティー)
他の人たちとの信頼関係を築いていくことなしに私たちは成長することはできません。計画したことがうまくいっても、あまりうまくいかなくても、実情を正直に話せる関係が不可欠です。アカウンタビリティーを辞書で引くと「説明責任」という硬い訳が出てきますが、ここでは「信頼してなんでも正直に話せる関係」とでも訳した方が良いかなと思います。私たちが回復され、成長していくためには「アカウンタビリティー」がどうしても必要です。自分の実情、神様から語られていること、これからしようとしていること、その結果、現状を信頼できる関係の中で分かち合うことがとても大切です。そのような信頼関係のなかでともに祈り合い、励まし合えるなら、成長していくことの大きな助けになります。
3.実行する
上にも書いたように「信仰」にはそれを実行することが含まれています。自分の主権を放棄して(降参して)神様の愛のご支配の中で御心を求め、信頼できる関係の中で分かち合い、信じて計画を立て、現状を分かち合い、そして実行すること、「信仰」は私たちにそこまで要求します。悔い改めと信じることには、これらのすべてのステップが含まれています。私たちは常に100%正しく神様の御心をキャッチすることも、それを100%正しく行うこともできませんが、たとえ拙いやり方であっても従おうとするときに聖霊は必ずそれを助けてくださるお方です。